海外資産の税金対策まとめ!不動産・保険・仮想通貨・株式など、知っておきたいポイントと注意点

海外資産を保有している場合、日本と保有先の国や地域の両方から課税される可能性があります。ただし、租税条約や外国税額控除を活用することで税負担を軽くすることができることもあるため、海外の税制について知ることも重要です。

本記事では海外がある場合に税制はどうなるのか、タイ・香港・ベトナムを例に挙げつつ解説します。複雑な部分も多いため、正しい申告のために必要に応じて専門家へも相談しましょう。

まずあなたが、日本に住んでいる場合。海外資産で発生した収益に対しては日本と海外の両方で税金が徴収されます。一方、海外転勤などが理由で「非居住者」である場合、課税されるのは国内源泉所得のみです。

あなたは? 課税関係は?
居住者 国内外問わずに課税される
非居住者 国外で発生した所得は課税なし

居住者の場合は海外資産による所得も課税対象となります。したがって、日本からだけでなく、資産の保有先の国からも課税される「二重課税」が発生してしまうケースも考えられます。

 

ただし、租税条約や外国税額控除によっては二重課税を回避することが可能です。確定申告の際に確認が必要なため、専門家の力を借りつつ二重課税の解消方法を探るのが良いでしょう。

居住者と非居住者の定義と税金に関する違い

海外資産に対する税制を理解するために、まずは「居住者」と「非居住者」の違いを明確にしておきましょう。

居住者

「居住者」は、「非永住者以外の居住者」と「非永住者」に分かれています。「居住者」とは、国内に住所があり、かつ現在まで引き続き1年以上住み続けている個人をいいます。

居住者としての区分 定義 課税所得の範囲
非永住者以外の居住者 以下のいずれかに該当する者

・ 日本国内に住所を有する者
・ 日本国内に現在まで引き続き1年以上居所を有する者
国内および国外において生じたすべての所得
非永住者 以下のいずれにも該当する者

・ 日本国籍を有していない者
・ 過去10年以内において、日本国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である者
国外源泉所得以外の所得および国外源泉所得で日本国内において支払われ、または国外から送金されたもの

「非永住者以外の居住者」であれば、海外にある資産から所得も日本で得た場合と同じく課税されます。これは、日本の居住者は「全世界所得課税」という国際税務の基本ルールに基づいて課税されることになっているからです。

したがって、海外資産を持っていてもずっと日本に住み続けている場合は、日本だけでなく資産を有している海外の両方で課税されます。

非居住者

区分 定義 課税所得の範囲
非居住者 居住者以外の個人 国内源泉所得

非居住者は、日本で生じた所得のみに対して課税されます。海外資産で得た利益に対しては、日本の所得税は課税対象外です。

ただし、資産を保有している海外の税制には注意しましょう。日本の所得税はゼロであっても、保有している資産の種類や保有先の国によっては税金を徴収される場合があります。現在の居住国の税制に従うようお願い致します。

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【資産別】海外資産と税金のルール

ここでは、以下の取引等について税金のルールがどうなっているのか、タイ・香港・ベトナムを例に整理します。

取引によっては正しい申告が求められるため、海外資産を保有している場合は特に注意しましょう。

【タイ】不動産の賃貸収入

海外に不動産を所有し賃貸収入がある場合、居住者であれば日本と海外の両方で課税されます。

日本では、賃貸収入は不動産所得として確定申告の対象です。一方、不動産所有している国では現地の税制に沿って申告等を行う必要があります。

タイに不動産があり収入がある場合の税制は、以下のとおりです。

1. 日本の居住者でタイに不動産がある場合

日本の居住者がタイにある不動産から所得を得ている場合、原則として日本とタイの両方から課税されます。

しかし、日本とタイは租税条約を締結しているため、必要な手続きをすれば税負担が軽減される場合があります。

日本の場合、不動産所得はほかの所得と合算され、その所得額に応じた税率で課税されます。金額によっては確定申告が必要であるため、国税庁ホームページにて最新の情報を確認することをおすすめします。

2. 日本の非居住者(タイの居住者)でタイに不動産がある場合

タイでは滞在期間が180日以上となると「居住者」扱いになります。この場合、日本では課税されませんがタイでは課税されます。

タイも日本と同様に累進課税制度を導入しており、税率は5%~35%の間で所得金額に応じて決定します。

【ベトナム】銀行口座に入金される利息

利息が発生した場合も、日本と海外の両方で課税されます。

日本では、利息に対して20.315%の課税(源泉徴収)があり、原則として確定申告は不要です。海外で口座を開設した場合は源泉徴収されないので、自分で確定申告をしなければなりません。

ベトナムの銀行に口座を開設して利息などを得ている場合の税制は、以下のとおりです。

1. 日本の居住者でベトナムの銀行口座を開設している場合

日本の居住者がベトナムの銀行口座を開設して利息などを得た場合、原則として日本とベトナムの両方から課税されます。

ただし、日本はベトナムとも租税条約を締結しているため、必要な手続きを行うことで税負担を軽減できます。

日本の銀行口座に入金される利息は、約20%が源泉徴収されて入金されます。そのため、原則として確定申告は不要です。一方、ベトナムの銀行口座に入る利息については源泉徴収の対象外であるため、利子所得として必要があれば確定申告が必要です。

確定申告の要件は国税庁ホームページで、最新の情報を確認することをおすすめします。

2.日本の非居住者(ベトナムの居住者)でベトナムの銀行口座を開設している場合

ベトナムの居住者であり、現地の銀行口座に利息などが発生した場合は、ベトナムの税制に従う必要があります。

ベトナムドンで発生した利息については、個人の場合だと年間10億ドンまで非課税です。利息以外の所得がある場合は、その金額に応じて5%~35%の課税がある点には注意しましょう。

【香港】株式の配当・売却益

外国株式の配当金や譲渡益を受け取る場合も、日本と海外の両方で課税されます。

ただし、源泉徴収ありの特定口座を選択していれば、源泉徴収された金額が入金されるので確定申告は不要です。

香港で株式等を保有している場合の税制は、以下のとおりです。

1. 日本の居住者で香港の証券口座を保有している場合

日本の居住者で香港の証券口座を保有している場合、日本と香港の両方で税金がかかります。

日本では、例えば株式の配当金や譲渡益(売却益)が発生した場合、約20%の税金がかかります。香港では配当金は非課税ですが、譲渡益は課税される場合があります。

日本と香港は租税条約を締結しているため、専門家に相談しつつ正しい申告を行いましょう。

2. 日本の非居住者(香港の居住者)で香港の証券口座を保有している場合

日本の非居住者の場合は、日本では課税されません。そのため、香港の税制に基づいて納税する必要があります。

香港は配当金が非課税ですが、株式の売却によって得た利益も場合によっては非課税となります。非課税となるケースは資本性の取引と判断されたものに限られ、トレーディング取引の場合は課税されます。

具体的な課税金額や、非課税となるケースについては専門家へ相談することをおすすめします。

海外資産の二重課税を解消するための方法

居住者であれば、海外資産は日本と海外の両方から税金を取られてしまいます。この二重課税の状態を解消するために知っておきたいのが以下の2つです。

1. 租税条約
2. 外国税額控除

上記を活用すれば二重課税を解消できるケースもあるため、どのようなものか概要を知っておくことで節税にもつながるでしょう。

租税条約

租税条約とは、ある二国間での税金についての取り決めをいいます。

海外資産の保有先と日本で租税条約が締結されている場合、一定の手続きを行うことで海外での税負担が軽減される可能性があります。

外国税額控除

外国税額控除とは、国際的な二重課税を調整するための仕組みです。外国所得税を納税する場合、一定範囲内でその外国所得税額をその年分の所得税額から控除できます。

外国税に含まれるものとそうでないものがあり、経理に慣れていなければ計算の難易度も高く感じる可能性があります。正しく有効活用するためにも、税理士など専門家へ相談して行うことをおすすめします。

海外資産の税金対策

海外資産は税金のルールも複雑であるため、保有している場合はどのような税金がかかるのか、必要な手続きはどのようなものか、などを確認しておきましょう。

もし分からないことがあれば、国際税務の経験が豊富な専門家へ相談し、適切な税務対策を行う必要があります。

また、各国がCRSという、非居住者資産の情報を各国金融機関と各国の当局間で交換する制度を導入しており「忘れていました」では今後済まないでしょう。更に、暗号資産、NFTなどの登場により、今後は税制がさらに複雑になることも予想されます。

税制上のルールを知らないまま海外資産を保有していると、思いがけずペナルティを受けてしまうリスクもあります。

したがって、税金のルールが複雑になる前に資産の一部を日本へ移すことも考えてみることも必要かもしれません。

海外資産の申告は専門家にも相談を

日本の居住者であれば、原則として海外資産に対しては日本と海外の両方から課税されます。

海外資産の保有先が日本と租税条約を締結していれば適切な手続きにより税負担を軽減できますが、専門知識も必要となります。もし自力で解決することが難しければ、専門家に相談することをおすすめします。

もし海外の銀行口座など金融に関するお困りごとがございましたら、OSSJへご相談ください。専門家のご紹介含め迅速な解決に向けてサポートいたします。

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